PPL2020では,以下の2件の招待講演を予定しております.
石川 冬樹 | NII |
---|---|
AI・自動運転時代のプログラミング技術への期待 | |
関 浩之 | 名古屋大学 |
データ値を扱うオートマトンと文法 |
石川 冬樹(NII)
自動運転に代表されるように,ソフトウェアプログラムは今や 実世界のあり方を制御するものになっていると言える. また深層学習を用いたAIソフトウェアの開発では, プログラミングの位置づけや開発・品質評価のあり方が変わっている. 本講演では,プログラミング分野と近くて遠いとも言える ソフトウェア工学分野の観点から,これらの動向や研究事例を紹介しつつ, 今後のプログラミング技術への期待も論じる.
関 浩之(名古屋大学)
伝統的なオートマトンや形式文法はさまざまな方法で拡張されている.そのような拡張の一つとして,レジスタをもつモデルについてお話しする.データ値の無限集合を一つ仮定しておき,オートマトンや形式文法にデータ値を記憶するレジスタを導入する.表現能力をほどほどに抑えるため,レジスタに記憶されたデータ値に対しては比較演算(典型的には等号判定)しか許さない.このような考え方で拡張されたモデルであるレジスタオートマトンとレジスタ文脈自由文法を取り上げ,その基本問題の判定可能性や計算量,言語演算に対する閉包性などを紹介する.次に,拡張モデルである凍結子付き時相論理,2変数1階論理を紹介する.関連する計算モデルとして,重み付きオートマトンと形式級数,時間オートマトン,ベクトル加算系などにも触れる.時々寄り道をして,プログラム検証や情報流解析,厳密学習などへの応用についてもお話しする.